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30年度ルネ鑑賞モニターレポート①「フジコ・ヘミング・ピアノ・リサイタル」

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5/9(水)フジコ・ヘミング・ピアノ・リサイタルに寄せられたルネ鑑賞モニターレポートを抜粋でご紹介します。

こんなに聴衆の心をひきつけ涙を流させる演奏家には、そう多くは出会えないのではないでしょうか。
彼女の音楽は彼女の人生そのものなのだと思いました。人生を紡ぎ出して生まれてきた音なのでしょう。年老いて手首も細くなりたとえ演奏に力強さが失われつつあっても、私達を十分魅了させる力があると感じました。彼女は、聴力が弱くなり自分の演奏が聴きにくくなっても魂の中で弾き続けるだろうと。自分の技術に磨きをかけ、これでもかと見せつけるような演奏会がありがちな中で、フジコさんの音楽は対極にあるのだと思います。おごらず こびず どんな時にも自分の信じた道を歩み続ける、そんな不屈の精神に私たちは励まされ共感し、希望の光を見い出すのでしょう。小平のリスナーの方の文化水準の高さも改めて感じました。後方より3列目でしたが、皆さんの集中度がすごかったです。そしてシンプルなルネの舞台も彼女の美しさを際立たせていました。敢えて花束を贈らず(おそらく彼女の意志を尊重したのでしょう)ルネの企画運営の方々も素敵だと思いました。今後もこのような素晴らしい企画を期待しています。ありがとうございました。
コンサート終了時、フジコさんのマイクの声が聞こえず残念でした。スタッフの方が出てきて調整して下さってもよかったかと思います。1階トイレの案内の表示が少なく、年配の女性の方が迷ってスタッフの方に尋ねていました。
(50代女性モニター、1階席後方で鑑賞)

 

以前から、一度は生で是非とも聴いてみたいと思っていたフジコ・ヘミングのピアノ、そしてラ・カンパネラをここ地元のルネこだいらで聴くことができたことにまず感激しました。ピアノについては詳しくない私ですが、その音色の美しさ、暖かさにはこの楽器の魅力、そして音楽ってやっぱり素晴らしいなあと改めて感じました。
あいにく後方の席でしたので、その表情や指の動き・息遣いを見ることはできず残念でした。
しかし、舞台に初めて姿を見せられた時からステージ上の全ての動き仕草にはやはり彼女独特の雰囲気、オーラを感じました。舞台から下がる時にはおちゃめに手を振って下さいました。そうしたお人柄も彼女が多くの方々に愛される人気の理由のひとつかもしれません。ピアノの演奏だけでなくフジコ・ヘミングさんそのものに何となく会場全体が圧倒されたような、いつものコンサートとは少し違う雰囲気がありました。
わたしは最近つづけて3冊の本「羊と鋼の森」「蜜蜂と遠雷」「さよならドビュッシー」を読みました。まったくの偶然なのですがピアノの調律師やコンサートピアニストを目指す人たちのお話でした。本の中には本日のプログラムの曲も出てきます。休憩時間には調律師の方が出て来られて調律を始められました。音程の調節や音色・タッチをフジコ・ヘミングのリクエストに合わせてらっしゃるのかな、などと勝手に想像しながら見ていました。こんなコンサートの楽しみ方もあるのだなと新たな発見でした。
開演間近に来場される方が多く、特に2階席は階段が急なため席を探し着席するまでがとても大変そうで混雑していました。案内の方も多分1人か2人だったようですが忙しそうでした。
開演後、多分曲間に入って来られたのだと思いますが、案内され席に着くころには既に次の曲の演奏が始まっているといったケースがありました。周りの方々には少々迷惑かも知れません。
(60代女性モニター、2階席後方で鑑賞)

 

鑑賞モニターとして初めての鑑賞でした。まず鑑賞の前に、館内の大きな刺繍のこと、25周年のこと、鑑賞モニターの役割などをご説明いただき、心に残りました。自己紹介では多様な経歴の方がいらっしゃり人生の先輩が多いようだったので、緊張しました。
そして、いざ、公演。嬉しくてドキドキワクワクして座席につきました。ピアノのコンサートではいつも、指が見える下手側に席をとるので、上手側は新鮮でした。座席はあっという間に満席に。特に中高年の女性が多かったように感じましたが、中には中高年の男性や若い学生さんもいらっしゃいました。ステージにはスタインウェイのフルコンサートグランドが準備されていて、期待感が高まりました。
フジコさんはイメージよりずっと若く、少女のように美しく登場しました。衣装も水色の光沢のある布を大胆にデザインした素敵なものでした。
1曲目、シューベルトの即興曲第3番では、旋律の歌わせ方が表情豊かで陰影に富んでいて、いきなりグッと胸をつかまれるようでした。この辺りが、フジコさんが広く愛される所以なのかなと思いました。内声は柔らかく優しい音色でよどみなく流れる温かな水流のようでした。最後の低音の所ではドラマチックな表現もありました。
2曲目、ショパンのエチュード「エオリアン・ハープ」では、旋律を奏でる指の歌が、なんとも一音一音に表情があり、また内声をぐっと強調するところもあり、ありきたりではない、この人らしい演奏になっていました。歌わせ方、ため方、強弱の付け方がのびのびと自由で、人柄を表現しているかのようでした。終盤では高音の鍵盤を美しく駆け巡り、低音で落ち着いておだやかに終わりました。
3曲目、ショパンのエチュード「別れの曲」では、こんなにもやわらかくよく歌う音色を一体どうやって出すのだろう、と思いました。よくある演奏でクレッシェンドして激しく強く弾く部分を優しく美しい音色で響かせ、静かに弾かれる部分をぐっと強調して弾くなど、自分の表現としてよく考え練られたものであると感じました。
4曲目、ショパンのエチュード「黒鍵」では、先の3曲とは変わって、キラキラと輝く硬質の音色で細やかに、一音一音を軽くくっきりと奏で、本当に何とも言えない音の粒が、美しい最上の宝石のように輝きました。
5曲目、ショパンのエチュード「革命」では、よくある演奏では冒頭の和音をぶつけるように激しく弾かれますが、フジコさんはそうではなく、むしろ和音の後に来る下降パッセージのほうを表情豊かに表現されました。その後に続くテーマも、高音の旋律よりも内声の分散和音を丁寧に歌わせることで、心の葛藤や憤りを豊かに訴えてくる演奏で、胸に迫りました。
(中略)
後半6曲目、リストの「ラ・カンパネラ」。変奏でのペダルの使い方、スラー、スタッカートのニュアンスの付け方など丁寧に工夫され磨かれた演奏で、技巧的でありながら、派手なだけではない濃い演奏でした。
全曲のすばらしい演奏に、当然拍手は鳴りやまず、登場したフジコさんは「足と腰を痛め、飛行機から降りてから耳もよく聞こえなくて、自分のピアノが良いのか悪いのかわからない。」と言われました。身を削ってひたむきにピアノに向かうお姿にまた一層感動しました。
アンコールの1曲目、ラフマニノフの前奏曲では、あまりの美しさに会場が静まりかえった瞬間がありました。アンコール2曲目、ショパンのワルツでも、音の減衰をとらえた繊細な歌が心に残りました。
素晴らしい余韻に満たされ、フジコさんのひたむきにピアノに向かう姿が忘れられないものになりました。
曲の終わりでまだ余韻の音が響いている中で拍手をする人がいたのは、最後の味わいを台無しにするようで、とても気になりました。フジコさんご本人もちょっとびっくりしたような雰囲気がありました。演奏者の気分を損なうことがないようにしたいものです。咳が出そうになりそれをおさえたくて飴をなめようとする人がいますが、やはり飴の包みを開ける音はとても響いて気になりました。その点がプログラムにきちんと書かれていたことは良かったと思います。理想は書いていなくても気遣える方が増えることですね。ホームページにすぐにアンコール曲が明記されていたのもとても良かったと思います。
(30代女性モニター、1階前方で鑑賞)

5/9フジコ・ヘミング・ピアノ・リサイタルの公演情報は、こちら