2025年度ルネ鑑賞モニターレポート⑩「ルネこだいら寄席 年忘れ特選名人会」

2025年12月7日(日)「ルネこだいら寄席 年忘れ特選名人会」に寄せられたルネ鑑賞モニターレポートを抜粋でご紹介します。

ルネこだいら寄席「年忘れ名人会」を聴いた。出演は柳亭市馬さん、柳家さん喬さん、五街道雲助さん、三遊亭好楽さんという、いずれも当代を代表する落語家たち。会場のルネこだいら大ホールは満員御礼。幕が上がると同時に、寄席独特の温かみある笑いの世界へと引き込まれた。
この顔ぶれであれば大ホールの満席は当然ではあるが、いかにも規模が大きい。その空積・音響・内装デザインなどは落語に対しては過剰であり、上から見下ろす舞台を「高座」とは呼びづらい。とはいえ、照明、大道具や小道具などの工夫も見られ、なにより観客はおおいに楽しんでいた。ホール落語としての「ルネこだいら寄席」のさらなる発展に期待したい。
柳亭市馬さんは艶のある声と安定した語りで、古典の世界を堂々と展開。「掛取り」を軽妙に演じ年の瀬らしい華やかさを見せた。師匠筋への敬意を滲ませつつ、玄人はだしの歌を交えた芸達者ぶりで満場をおおいに沸かせた。
続く柳家さん喬さんは静かな語りで人物の感情を丁寧に描く名人。演目は「芝浜」。失敗と再生を描く物語を淡々とした語りの中にじっくりと情をこめ、酒の香りまで漂うような臨場感を生み出した。聴くうちに心がしんと静まり、笑いの後に深い余韻が残る。人情噺の醍醐味を改めて感じさせられた。
五街道雲助さんは軽妙な運びの中にも鋭い観察眼をのぞかせる。「お見立て」を演じ、登場人物同士の微妙なズレをテンポよく繋いでいく。人間国宝の熟練の呼吸と間合いが見事であった。
トリを務めたのは三遊亭好楽さん。テレビでおなじみの柔らかい語り口で世相を織り交ぜた軽妙な枕から本題へと自然に導く。古典落語の「子は鎹」を温かく演じながらも時折り現代的な風刺を差し込み、会場をほぐす手腕はさすが。
四者四様の芸風が並びながら、全体としては古典落語の豊かさと世代を超えて継承されてきた芸の力を感じさせる高座となった。年の瀬に聴く落語は一年の疲れを笑いで洗い流し、新しい年への活力を与えてくれる。芸の深みと人情の温かさが響き合う、まさに忘れがたい「年忘れ」の名人会であった。


(70代男性モニター)



「ルネこだいら寄席 年忘れ特選名人会」の詳細は、こちらのページをご覧ください。
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